2009年10月11日日曜日

弥生時代の実年代 その2

弥生時代は紀元前3世紀から3世紀にかけてのおよそ数百年間だとされ、前期、中期、後期に3区分されていますが、最近では早期・前期・中期・後期に4区分することが主流になりつつあります。

しかしその実年代については非常に流動的で近年では「年輪年代法」や「炭素14年代測定法」により、弥生時代の開始期を大幅に繰り上げるべきだと主張する説が出てきています。

表は都出比呂志氏の『古代国家はこうして生まれた』(角川書店、1998年)から引用させていただいたものです。表でも分かるように研究者によって実年代が異なり、また実年代が示されていてもそれが実年代として正しいのか判断に迷います。

近畿の研究者と九州の研究者とでも違いがありますし、最近では炭素14年代測定法によって中期の始まりを紀元前400年ころとする考えも出てきています。

ある研究者の後期後半と、別の研究者の「古式土師器の時代」とはどのように違うのかとなるとさらに混乱してきます。そこで私は個々の研究者の年代観とは別の、私流の年代観で実年代を判断することにしています。

弥生時代を前期180年間、中期180年間、後期180年間に大区分しようというもので、弥生時代の始まりは紀元前270年とします。中期の始まりは紀元前90年になり、後期の始まりは紀元後90年になって、弥生時代の終わりは紀元後270年になります。そして180年を90年ごとに中区分します

つまり前期の土器を6形式に分類して、それは180年間に作られたことにしてしまおうというのです。中期・後期も同様で弥生時代全体では18形式が540年間に作られたと考えるわけです。縄文時代と古墳時代との境に各1形式を置けば20形式、600年間になります。

この年代観は結果的には、1960年に杉原荘介氏(1913~83)が発表し、その後しばらく影響力を持っていた説の焼き直しということになります。杉原氏は1期間を100年としています。それを10年短縮して90年にしたに過ぎないのですが、半世紀も前のクラシックな年代観だと言えます。

ただ10年短縮したことによりその分だけ現在の通説に近くなっています。杉原氏は弥生時代の終わりを300年ごろとしていますが、私の年代観だと270年になって、3世紀後半とする最近の通説に近くなっています。中期と後期の境も通説では1世紀中葉とされていますが、私の年代観では90年になり杉原氏の説より10年だけ近くなります。

寺沢氏は近畿地方の弥生式土器を19形式に分類され、弥生時代と古墳時代の境に4形式の庄内式を入れています。寺沢氏の分類では庄内式は弥生時代の土器なのか、それとも古墳時代の土器なのか判然としませんが、4形式を半分ずつにすると弥生時代の土器を、およそ21・2形式程度に分類されていると見ることができます。

弥生時代を600年間とすると29年で形式に変化が起きることになりますが、およそ30年が土器の形式に変化の起きる期間だとするのです。ただしこの方法は前期の前に早期を置く4区分では矛盾が生じるようです。

弥生式土器は一世代一形式といわれています。早期の1形式が30年間で変化するようには思えませんが、幸いなことに地方ごとの土器の形式分類は緻密に行われています。この土器の形式分類の1形式を強引に小区分(30年間)に当て嵌めてしまおうというのです。

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